備考/
お勧めエピソード
この作品は読者が趣味嗜好によって話の印象が大分変ります。
私は絵が好きなので絵画系のエピソードが印象深いのですが、SOUTA氏は
書に興味があるっていうか関係者なんで、書のエピソードを挙げていました。
なんであくまで個人的に面白いと思ったエピソードってことでご紹介します。
北斎の市 / 葛飾北斎メインのエピソード。北斎の大きさを良く描いてると思います。
最後のオチもいい味出してます。
13人目のクーリエ / 13はユダ(反逆者)を意識したタイトルでしょう。美術界の反逆者でありながら
真の美を知る者としての藤田の立ち位置をうまく描き切った話です。
縄文土面 / 日本の考古学の不遇な環境を、複雑な人間関係を通して問題提起している話。
重い話がラストの知念氏のセリフで救われます。
千手堂の男(前・後) / 時計スゲーッとなる作品。てかブレゲスゲー。これ読んだらブランド時計や
宝石ちりばめた高級時計が馬鹿馬鹿しく思えます。この話に出てくるような
時計が最も美しい時計だと感じます。
されど額縁 / 絵を縁取る額縁に関するエピソード。誰も気にとめない額縁の本当のすごさが
分かります。読後感も良い。
ガウディゴースト / 誰もが知ってる有名建築家ガウディの弱点とは・・・・。ガウディの建物は
好きでしたが作中に出てくるような事実は全く知りませんでした。
ガウディ建築に関して新しい視点を与えてくれたエピソードです。
メトロポリタンの一夜 / 美術館の裏方を描いたエピソード。プロジェクトXとかこういう表に出ない
仕事人の話に弱いです。
税金天国 / 日本の美術品に関する相続税の在り方に一石投じるエピソード。
でも極楽島あぶなすぎだろ・・・・。
館長三昧 / 美術館が展覧会を行うまでの過程をキャラクターの人間関係をうまく交えて丁寧に
描かれたエピソード。館長って大変だな~。
オークションの罠 / 絵画オークションの進行、舞台裏を描いたエピソード。
でも、最後の絵は高田美術館の三田村館長分かってて寄贈されてるんだよね。
いや、まあ悪者が罰せられて良いんだけど、三田村館長のキャラとしては
どうなんだろ。
和と美 / 藤田が日本最高と言い放つ書。全然知りませんでした。実際ググったかんじでも
作者は現状の美術界での評価はそこまで高くないような印象です。ただ作中に出てくる
作品は確かに書に疎い私でもとても興味を引かれる独創性あふれる魅力を感じます。
佐賀にあるそうなので近いうちに見に行ってみようと思います。
老人は美術館を目指す / 木を見て森を見ずって言葉が身にしみるエピソード。最後の仕掛けは
気をつければ自分でもそのおかしさに気付いたはずなんですが・・・。
誓いの錠前(前・後) / 日本の錠前、和錠を扱ったエピソード。でもこの話はアイテムよりも
ストーリーと読後感の良さが好きで選出。
生きているオフィーリア / 物語初期の頃、あれほど邪見に扱っていたサラに対しての藤田の想い
の変化が描かれたエピソード。藤田の狼狽ッぷりがいい。
器くらべ / 日本の陶器と西洋の陶器の考え方の違い、そこから生まれる修復方法の違いが
わかるエピソード。藤田の憎い演出に思わずニヤリ。
薔薇と怠惰 / この話は絵がすごい。物語の展開をひっくり返す、ラスト見開きのボッティチェッリは
本当に官能的な雰囲気が伝わってくるようです。
終着駅 / ベタベタな人情話。だがそれがいい。大人になって涙腺弱くなってから見たらやばかった。
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